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第26回 関白豊臣秀次 秀吉にもてあそばれた悲運の生涯

NHK大河ドラマ「真田丸」第26回では、豊臣秀吉が関白の位を豊臣秀次に譲ると宣言するシーンがありました。秀次は秀吉の姉ともの子で、秀吉の甥に当たります。後継者と考えていたわが子の鶴松を失った秀吉にとって、血縁者の中から秀次を後継者に選んだわけですが、それまでの秀次の人生は事実上の人質として他家に預けられ続けるなど、秀吉の出世のために苦難の連続でした。そして晴れて関白に就任したあと、もっと大きな苦難が秀次を待ち受けていたのです。

4歳で近江の宮部家へ人質に

秀次は1568(永禄11)年、秀吉の姉ともと弥助(後の三好吉房)夫婦の長男として、尾張(今の愛知県西部)に生まれました。幼名は治兵衛。父の弥助は農民でしたが、秀吉が織田家で出世を重ねると、縁者として木下姓を与えられ、家臣に加わりました。

秀次の運命が最初に動いたのは、1572(元亀3)年。当時、秀吉の主君である織田信長は越前(福井県東部)の朝倉義景、近江(滋賀県)の浅井長政と争っていました。秀吉は浅井家から奪った近江横山城にいて、長政が籠城する小谷城攻めの責任者を務めていたのです。

小谷城は堅固な山城で、簡単に落ちません。そこで、秀吉は小谷城の周辺にある支城に対し、調略を重ねていきます。その中で調略に成功し、織田方に寝返らせたのが、宮部城主の宮部継潤でした。

この際、秀次はまだ4歳でしたが、宮部継潤の身の安全を保障する人質として宮部城に送られました。秀次は名目上、宮部継潤の養子とされ、宮部吉継と名乗ることになります。翌年、小谷城が落城し、浅井氏は滅亡しました。宮部継潤はそのまま、秀吉の配下とされましたから、この時点で秀次は人質生活を終えたと考えられています。

今度は名門三好家の跡取りに

秀次の運命が再び動いたのは、本能寺の変で信長が死んだあとです。そのころ、四国では土佐の長宗我部元親が勢力を拡大し、信長に従っていた阿波(徳島県)の三好氏を攻撃していました。

これに危機感を抱いた三好一門の三好康長が秀次を養子に迎え入れたのです。信長は死の直前、重臣の丹羽長秀、三男の織田信孝らに長宗我部討伐を命じていました。三好康長は秀吉との縁を深め、長宗我部討伐を続けてほしかったのでしょう。

秀次は三好家に入り、三好信吉を名乗ります。三好家は信長が上洛する前、近畿一円と東四国を勢力下に収めていた名門です。農民出の秀次が名門を継いだことから、実父の弥助も三好吉房と名乗るようになりました。

しかし、秀吉が信長の後継者の地位をつかむと、秀次は数少ない秀吉の縁者の中で二世世代の最年長者だったことから、次第に重用されていきます。1584(天正12)年には、三好家を去り、羽柴信吉と名を改めました。

関白就任も秀頼誕生で切腹

その後は秀吉の一門武将として、小牧長久手の戦い、紀州攻め、四国攻めなど秀吉の天下統一の戦いに従軍します。豊臣家内の序列は徳川家康、織田信雄、秀吉の弟豊臣秀長に次ぐ4位。小田原攻めで秀吉が天下統一したあとは、旧領の近江5郡のほか、尾張などを所領として与えられ、100万石の大大名となりました。

そんな秀次の運命をまた変えたのが、秀吉の嫡男鶴松の病死でした。1591(天正19)年12月、秀吉は太閤となり、関白の地位を秀次が継いだのです。実権は秀吉が握っていたとはいえ、天下人に上り詰めたわけです。

ところが、これが本当の悲劇の始まりでした。継承が済んだばかりの1593(文禄2)年、秀吉は男子を授かります。後の豊臣秀頼です。秀吉は秀頼の正室に将来、秀次の娘を迎える考えを示すなど、秀吉と秀次の関係はしばらくの間、良かったようです。

しかし、1595(文禄4)年に秀次に謀反の疑いが突然かけられました。秀次ら反秀吉勢力が鷹狩を口実に山中で落ち合い、謀議を重ねているというものでした。秀次は謀反の疑いを否定しますが、紀伊(和歌山県)の高野山へ送られます。

秀次の妻子も捕らえられ、丹波(京都府中部など)亀山城に監禁されました。やがて秀次に切腹の命令が下り、28歳でこの世を去りました。秀次に仕えた重臣らも切腹や斬首となっています。秀次が暴君だったため粛清されたとする説もありますが、秀頼に後を継がせたい秀吉の策略という見方が一般的です。

だが、秀吉の怒りはそれだけで収まりませんでした。秀次の妻子は京都の三条河原に集められ、幼子を含めた全員が首をはねられました。若君、姫君、側室、乳母、侍女ら総勢約40人が殺害され、一族をほとんど根絶やしにされたのです。

ただ、生まれたばかりの娘の中には難を逃れた者もおり、そのうちの1人が真田幸村(信繁)の側室になっています。幸村が紀伊(和歌山県)の九度山にいたころに知り合ったようですが、ほとんど記録がないため、詳しいことは分かっていません。



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